FILE No.60

 『 ……最近、思うのよ。あの鳥籠の中に戻りたい――って、ね 』


登録名 : アレクサンドライト
機体名 : シデロス・アラクーネ
所 属 : -
懸賞金 : 34000コーム



解 説 :
 紛争以降、特定の勢力に属さず活動を続ける在野レイヴン。
 ケイジ消滅を束縛からの解放だと喜んでいた節があり、
 それがC−LAWSに属さなかった理由と推測される。
 特に主義主張は持たず、トリニティだけを敵視しているわけではない事を公言している。
 在野勢力同士の戦闘に雇われる事も多く、そのため活動頻度に比べて懸賞金の額は低い。

 高い機動力と瞬間火力を確保した四脚型ACを駆る。
 高速を生かした近距離での機動戦を好み、相手の死角へと回り込んでの攻撃を主戦術とする。
 防御力に難がある為、正面からの撃ち合いや閉所での戦闘は不得手。
 なお、機体は高い信頼性を誇るイージス社製品のみで構成されており、
 在野である故に困難な補給・整備を考慮してか、流通量の多い旧式パーツが多用されている。


投稿者 : 前条様
■シデロス・アラクーネ
仕様 : 近距離射撃戦型高機動四脚

頭部 : レーダー、オートマップ、暗視スコープ、生体センサー
胸部 : ミサイル迎撃装置

右腕 : マシンガン
左腕 : ショットガン
右肩 : クラスターミサイル
左肩 : 小型ロケット
右格 : -
左格 : レーザーブレード
補助 : -
拡張 : 連動発射式ミサイル

備考 : -
仕様 : 近・距離支援型高機動四脚

頭部 : レーダー、オートマップ、暗視スコープ、生体センサー
胸部 : ミサイル迎撃装置

右腕 : アサルトライフル
左腕 : ハンドミサイル
両肩 : 連装チェインガン
右格 : -
左格 : レーザーブレード
補助 : -
拡張 : -

備考 : -
塗装
HEAD - ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/---
CORE(GENERAL) 通常 130/160/180 130/120/120 130/160/180 140/000/080 060/060/060
ARM R - ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/---
ARM L - ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/---
LEGS - ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/--- ---/---/---
WEPON  ARM R (GENERAL) :   ARM L : −  HANG R : −  HANG L : −  BACK R : −  BACK L : −





自由の代償



「――ねえ、コルト姉? 聞いてる?」
「え……ああ、ごめんね」

 2つのティーカップとケーキ皿を挟んで、不満気な視線が向けられた。
 声の主、小柄な黒髪の女性の名をフィルオーネといった。
 ≪アレクサンドライト≫の年少の友人にして、同じ孤児院で育った妹のような存在である。

「もう……ちょっと、大丈夫? いきなり呼び出しちゃったけど、疲れてたりする? 顔色、あんまり良くないよ?」
「大丈夫よ、フィオ。少し、ぼうっとしちゃっただけだから……ええと、何だっけ?」

 小さく首を振って、≪アレクサンドライト≫はそれを否定した。確かに今朝方に依頼を遂行して帰還したばかりだったが、肉体的に疲労しているわけではなかった。
 数日前、彼女の手元に届いた一通のメール。
 その内容が、いつまでも脳裏に残って離れなかった。

『――簡単なことだ、我々の依頼を内密に受けてくれればいい。
 そうすれば、我々は君の友人――もとい、貴重な従業員の1人を解雇する必要がなくなるのだよ――』

 ああ。なんと愚かしく恐ろしく、卑劣で悪辣で……無意味なことを。
 私はレイヴン――戦場を駆け、争いを糧に生きる鴉の一員。
 レイヴンを縛るのに、脅迫など不要なのに。契約と依頼――それだけで、傭兵は任務を遂行するというのに。

「……そうなの?」

 まじまじと≪アレクサンドライト≫の表情を見詰めて、フィルオーネは口を開いた。
 その視線は納得とは程遠かったが、訊ねるべきではないと判断したのだろう。
 それは、≪アレクサンドライト≫にとって有り難いことだった。
 自分は実はレイヴンで、その為に彼女の身が危険に晒されているなど――説明など出来る筈もなかった。

「なら、いいけど……企画の打ち上げのセッティングを任されたから、良さそうなお店を教えて欲しいのよ」
「ああ……そうね、人数はどのくらい? 雰囲気とかにもよるけど……」

 他愛もない会話を交わしながら、≪アレクサンドライト≫は想う。
 かつて存在した、レイヴンズ=ケイジ。あの頃は、ただ依頼の事だけを考えていれば良かった。
 補給に整備、依頼の斡旋。レイヴンの個人情報が企業に流出しないよう、細心の注意を払っていた。
 幾多の規則を疎ましく思い、鳥籠からの解放を真の自由を得たと信じていた自分は、如何に無思慮だったのかと。

「……20人くらいで、騒いでも大丈夫な……あ、あと料理は中華
「……打ち上げで中華? まあ、それなら……」

 いや、確かに自由は得た――しかし、放たれた小鳥は自らの力のみで生き抜かねばならない。
 それに気付いたのが、遅過ぎて――いつの日か地に堕つるまで、飛び続けるより他に道は残っていない。
 自らの愚かさで危険に晒してしまった"妹"を護る為には、もう翼を休めるわけにはいかなかった。



「じゃ――今日はありがとね、コルト姉。そのうち、また美味しいお店に連れてってね」
「フィオの休みが取れれば、幾らでも連れてってあげるわよ。それじゃ……気を付けて帰るのよ」
「うん、大丈夫。またね、帰ったらメールするよ」

 微笑みを浮かべて手を振るフィルオーネを見送って、≪アレクサンドライト≫は決意した。
 この笑顔を護る為ならば、駒として利用されるのも是としよう、と。
 何にも束縛されぬ、自由なる傭兵――そんなものは、何も知らない者達の無責任な幻想でしかないのだ。

 ならば――せめて、大切な者の笑顔の為に――








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